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市川ユウキ「グランプリ静岡への参加レポート」 
 
text by Ichikawa Yuuki



0.導入
こんにちはー、市川です。
今回はGP静岡への参加レポートを綴りたいと思います。
よろしくお願いします。



1.初日
初日はシールドです。
プールは《真面目な訪問者、ソリン》《幽霊火の刃》、《火口の爪》とゲームを決め得るレアがあるものの、どのカラーを軸にするかは難しく。
えぇい!悩んだら全部入れろ!5色だ!

sample deck
17land
1《茨森の滝/Thornwood Falls》
1《血溜まりの洞窟/Bloodfell Caves》
1《磨かれたやせ地/Scoured Barrens》
1《ジャングルのうろ穴/Jungle Hollow》
1《陰鬱な僻地/Dismal Backwater》
1《花咲く砂地/Blossoming Sands》
1《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》
4《森/Forest》
2《沼/Swamp》
2《平地/Plains》
1《山/Mountain》
1《島/Island》

13creature
1《縁切られた先祖/Disowned Ancestor》
1《射手の胸壁/Archers' Parapet》
1《雪角の乗り手/Snowhorn Rider》
1《サグの射手/Sagu Archer》
1《ティムールの軍馬/Temur Charger》
1《長毛ロクソドン/Woolly Loxodon》
1《賢者眼の侵略者/Sage-Eye Harrier》
1《軍用ビヒモス/War Behemoth》
1《隠道の神秘家/Mystic of the Hidden Way》
1《僧院の群れ/Monastery Flock》
1《グドゥルの嫌悪者/Abomination of Gudul》
1《吠える鞍暴れ/Bellowing Saddlebrute》
1《スゥルタイのゴミあさり/Sultai Scavenger》

10spell
1《幽霊火の刃/Ghostfire Blade》
1《ラクシャーサの秘密/Rakshasa's Secret》
1《残忍な切断/Murderous Cut》
1《マルドゥの戦旗/Mardu Banner》
1《龍鱗の加護/Dragonscale Boon》
1《焼き払い/Burn Away》
1《火口の爪/Crater's Claws》
1《暴風/Windstorm》
1《苦々しい天啓/Bitter Revelation》
1《真面目な訪問者、ソリン/Sorin, Solemn Visitor》
緑と黒を軸にあとは赤と白のスペルも足して完成。
青マナは僅かに3枚と、大丈夫なのかと言った感じですが、青マナを要求するカード自体を変異クリーチャーに絞っていること、青マナを引かなかったとしても《幽霊火の刃》で変異クリーチャー達には役割を持たせられること、などから十分だと判断しました。


結果は、余り色事故を起こさなかったこと、三種のレアカードを良く引けたことなどの幸運も重なり8勝1敗!
負けは《風番いのロック》、《カマキリの乗り手》を擁したジェスカイで、周りを固めるカードも強く、あっという間に負けてしまいました。




2.ドラフトの感触

2日目はドラフトです。
初日を8勝1敗で折り返した私は、ドラフトラウンドを少なくとも5勝1敗以上でなくてはシングルエリミネーションには望めません。

グランプリ上海、プロツアータルキール覇王譚、世界選手権とこの環境のリミテッドを初期よりプレイしていた私ですが、この環境、一つの答えに辿り着いていました。

『5色ピック』です。

白黒戦士、赤緑ジャイグロビートなど、様々なアーキタイプを試しましたが、どれもあまり上手く行きませんでした。

アーキタイプドラフトはそのアーキタイプの卓内での認知度はもとより、個人の嗜好によって、流れに乗ったと思っていたら上とその上が被っていた・・・・なんて言うこともしょっちゅうです。

かと言って流れに沿って空いている氏族をピックしよう・・・もこの環境ではややリスキーです。
《軍備部隊》が流れて来たからといってアブザンに行ったら、上は広さを重視して《吠える鞍暴れ》初手からアブザンに行ってましたとさ・・・などもあったりで、流れてくるカード=空いている氏族とは限らないからです。

そこで5色ピックです。5色ピックはまずアーキタイプとして認知しているプレイヤーが少ない為、カードを取り合うことは殆ど起こりません。
決め打ち特有の
『卓の流れを無視して決め打ちしたら、周りに同じアーキタイプをやっているプレイヤーが沢山居てしまった→決め打ち故逃げることも不可能』
みたいな事態も殆ど起こり得ないので、決め打ちの中でもリスクは限りなく少ないです。

練習での3-0率も一番高く、二日目に残ってドラフトラウンドに臨む場合は『5色ピックを決め打つ』ことを決めていました。





3.5色ピックの概要

5色ピックの大まかな内容は以下になります。

・2色、3色土地を取る。
・0/5クリーチャーを取る。
・0/5を突破してくるクリーチャーを対処するスペルを取る。
・流れてくる強いカードを取る。





・2色、3色土地を取る。

5色のカードをプレイするためには、それを安定させるために大量の2色、3色土地が必要です。
大まかな目安としては18枚の土地と1枚の《戦旗》でマナベースを構築する場合、8枚以上の2色土地が必要です。
ですので序盤のピックは大体土地に費やすことになります、スペルか土地か悩んだら土地、が基本です。
特に《神秘の僧院》などの3色土地は5色ピックにとってかなりのパワーカードですので、初手も厭わないことを留意しておきます。

・0/5クリーチャーを取る。

後半に大量のマルチカラーのパワーカードを連打するためには、序盤の相手の猛攻を止めなければなりません。




《射手の胸壁》は2マナですし、後半は起動型能力によってフィニッシャーとなってくれますが、タルキール環境屈指の優良コモンという事で枚数を取ることは中々に難しいです。

その点、《沸血の導師》は一周余裕のカード、破格に安く、また後半は起動型能力によってドローの質を高めることが出来ます。
《僧院の群れ》は能力自体はありませんが、飛行まで止める鉄壁ブロッカー、この3種の0/5クリーチャーで場を止めていく形になります。


・0/5を突破してくるクリーチャーを対処するスペルを取る。
これらで盤面を固めていく手法を取るので、構造上パワー5のクリーチャーに弱くなります。
《雪角の乗り手》、《クルーマの盟族》などの5マナでフリップアウトする変異クリーチャーですね。
それらのフリップアウトを返り討ちに出来たらテンポも取れてかなり有利にゲームを進めることが出来ます。





《大物潰し》、《必殺の一射》はインスタントタイミングで対戦相手のパワー5に対処出来るので是非ともデッキに欲しいスペルたちです。
《龍鱗の加護》は、パワー5のクリーチャーを直接的に対処は出来ていないのですが、こちらの0/5を強化することによって相手のパワー5を無効化出来ているので、これでも《大物潰し》などの代用になります。




・流れてくる強いカードを取る。

最後に5色ピックの醍醐味、流れてくる強いカードをかき集めます。





《砂塵破》などのカード1枚でゲームを決めるレアカードも、後半になると卓内での氏族の込み具合によっては全然流れてくる可能性のあるカードとなります。
その他、《熊の仲間》などが代表する氏族カラーのアンコモンも非常に強力なので、この辺りも安く流れて来たら積極的にピックしていきます。


これらのカード達を勿論ドラフトですから、流動的に優先順位を変えながらピックしていきます。




4.1stドラフト

いよいよ二日目のドラフトです。
1stドラフトはアメリカのカバレッジ班として来日していたフランクカーステンにピック譜を記録されました、感激!


DRAFTING WITH NO. 23 YUUKI ICHIKAWA(外部リンク)


序盤こそ複数の《道極め》が流れて来たので青赤基調でピックしていましたが、2-2で《砂塵破》が流れて来て、当初より予定していた5色ピックに舵を取ります。
出来たデッキはこちらになります。

sample deck
18land
1《磨かれたやせ地/Scoured Barrens》
1《茨森の滝/Thornwood Falls》
1《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
1《花咲く砂地/Blossoming Sands》
1《ジャングルのうろ穴/Jungle Hollow》
1《血溜まりの洞窟/Bloodfell Caves》
1《風に削られた岩山/Wind-Scarred Crag》
5《島/Island》
1《平地/Plains》
1《森/Forest》
4《山/Mountain》

11creature
3《隠道の神秘家/Mystic of the Hidden Way》
1《イフリートの武器熟練者/Efreet Weaponmaster》
1《僧院の群れ/Monastery Flock》
1《賢者眼の侵略者/Sage-Eye Harrier》
1《うねる塔甲羅/Meandering Towershell》
1《眼の管理人/Warden of the Eye》
1《熊の仲間/Bear's Companion》
1《わめき騒ぐマンドリル/Hooting Mandrills》
1《大牙コロッソドン/Tusked Colossodon》

11spell
2《苦しめる声/Tormenting Voice》
2《道極め/Master the Way》
2《漂流/Set Adrift》
1《砂塵破/Duneblast》
1《頑固な否認/Stubborn Denial》
1《取り消し/Cancel》
1《大物潰し/Smite the Monstrous》
1《ジェスカイの戦旗/Jeskai Banner》
《沸血の導師》が多分卓であまり出ず、殆ど見ることが無かったことによる壁役の不足は気になりますが、《砂塵破》と言うA級のレアカード、《眼の管理人》、《熊の仲間》、《道極め》などのグッドアンコモン。また、ゲームを決めれる《隠道の神秘家》が3枚と、デッキ全体のバランスはやや悪いながらも、かなり強い構成になりました。


結果は3-0!

1枚しか入っていない《僧院の群れ》を早いターンにキャスト出来るゲームが多く、それで盤面を持たせられて、上のマナ域に繋げられる展開が多かったです、ラッキー。




5.2ndドラフト


次は2ndドラフトです。
1stドラフトを3-0で終えられたこともあり、残り3ラウンドを2勝1敗以上で消化出来れば、オポーネント勝負にはなりますが概ねトップエイトでしょう。

ピックは勿論『5色ピック決め打ち』、作戦に変更はありません。

初手はあまり良いカードも無く《射手の胸壁》からスタート。
しかし、1-2から早くも異変、ロングゲームになったら最強と呼ぶべき《悪逆な富》が流れて来ました。
すかさず強力レアはピック、そしたらあれよあれよと流れてくる2色土地、すかさず全部ピック。
土地ピックに殆どを費やして2パック目に突入、そうしたら2手目に《砂塵破》!
あとは流れでピック、3-1《サグのやっかいもの》は幸運でしたが流れてくる《はじける破滅》、《千の風》などのレアカード達を気軽に拾える受けの広さは他のピック方法には無い強みでしょう。

sample deck
18land
1《血溜まりの洞窟/Bloodfell Caves》
1《平穏な入り江/Tranquil Cove》
1《岩だらけの高地/Rugged Highlands》
2《花咲く砂地/Blossoming Sands》
1《ジャングルのうろ穴/Jungle Hollow》
1《遊牧民の前哨地/Nomad Outpost》
2《陰鬱な僻地/Dismal Backwater》
9《基本土地》

13creature
1《無情な切り裂き魔/Ruthless Ripper》
1《射手の胸壁/Archers' Parapet》
1《沸血の導師/Bloodfire Mentor》
1《グドゥルの嫌悪者/Abomination of Gudul》
1《千の風/Thousand Winds》
1《隠道の神秘家/Mystic of the Hidden Way》
1《サグのやっかいもの/Sagu Mauler》
1《サグの射手/Sagu Archer》
1《賢者眼の侵略者/Sage-Eye Harrier》
1《雪角の乗り手/Snowhorn Rider》
1《氷河の忍び寄り/Glacial Stalker》
1《眼の管理人/Warden of the Eye》
1《熊の仲間/Bear's Companion》

9spell
1《秘密の計画/Secret Plans》
1《ティムールの戦旗/Temur Banner》
1《苦しめる声/Tormenting Voice》
1《砂塵破/Duneblast》
1《悪逆な富/Villainous Wealth》
1《引き剥がし/Force Away》
1《取り消し/Cancel》
1《はじける破滅/Crackling Doom》
1《大物潰し/Smite the Monstrous》
マナベースあり、0/5あり、除去あり、レアありと、まさに自分の5色ピックを体現する出来栄え!
《秘密の計画》はデッキ内のクリーチャーが大量の変異で占めることになる5色ピックでは爆弾レアに匹敵する効果を発揮します。
このピックでも1-3などの、かなり早い巡目でピックしました。

結果は勝ち、負け、勝ちの2勝1敗、7位でプレーオフに進出!

試合内容は《砂塵破》打って勝ち、《悪逆な富》打って勝ち、などの大味なものが多かったです。
まあ、そういうデッキになっているのでしょうがないのですが・・・。
負けは《刃の隊長》から《アブザンの魔除け》を絡めたビートダウンになす術無く、と言った感じでした。







6.プレーオフとまとめ


QF ○○
SF ××

sample deck
17land
7《島/Island》
5《森/Forest》
2《沼/Swamp》
2《華やかな宮殿/Opulent Palace》
1《ジャングルのうろ穴/Jungle Hollow》

15creature
2《射手の胸壁/Archers' Parapet》
1《荒野の後継者/Heir of the Wilds》
1《高地の獲物/Highland Game》
1《氷羽のエイヴン/Icefeather Aven》
1《煙の語り部/Smoke Teller》
1《湿地帯の水鹿/Wetland Sambar》
2《氷河の末裔/Scion of Glaciers》
1《賢いなりすまし/Clever Impersonator》
1《隠道の神秘家/Mystic of the Hidden Way》
1《サグの射手/Sagu Archer》
1《グドゥルの嫌悪者/Abomination of Gudul》
1《氷河の忍び寄り/Glacial Stalker》
1《長毛ロクソドン/Woolly Loxodon》

8spell
2《鐘音の一撃/Singing Bell Strike》
1《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
1《族樹の発動/Kin-Tree Invocation》
1《スゥルタイの魔除け/Sultai Charm》
1《増え続ける成長/Incremental Growth》
1《強大化/Become Immense》
1《水渦/Waterwhirl》
あれ!?ここまで一貫してきた5色ピックじゃない!?

と、疑問をお持ちの読者の方々、鋭い、私は最後のピックだけ5色ピックをやらなかったのです・・・。

理由は端的に申しますと”謎”です。

長期戦から来る疲れに拠るものなのか、憶測はあれど、真相は闇の中・・・。


『マジックは心を抓む戦い』


それに敗れてしまった・・・と言うことでここは一つまとめさせて頂きます。


グランプリ静岡は良い準備が出来ていたこともあり、3位で終わることが出来ました。
リミテッドグランプリでトップエイトに入るのは初めてだったので、一つ埋めていなかったピースが埋まったと言いますか、達成感はありますね。

これによりプロポイント5点を得て、シーズン合計でプロポイントが20点になりました。
目指しているプラチナレベルは48点が条件ですので、残り28点とまだまだ先の遠い目標ですが、マイペースに目指して行けたらと思っています。


来月の頭には今シーズン2回目のプロツアー、プロツアー『運命再編』が待っています。
ここでトップエイトに入って、プラチナレベルへの弾みにしたいですね!



如何だったでしょうか、また次の記事でお会いしましょう。





市川

市川ユウキ
マスクスブロック時代よりMTGを始め、インベイジョンが入る頃に引退。
ミラディンの傷跡が発売した頃にMagic OnlineでMTGに復帰。
ほぼ同時期にニコニコ生放送にて"瀬畑"のハンドルネームでMagicOnline配信を開始。
その独特で軽妙な毒舌トークと、確かな実力から人気を博す。

配信者としてのキャリアを重ねると共に地道な努力を続け、2013年MOPTQを2期連続で突破。
更に日本レガシー選手権において前人未到の2連覇を果たし一気に国内においてブレイク。

そして2014年。『プロツアー・ニクスへの旅』『プロツアー・マジック2015』において、
2連続プロツアーTOP8入賞を果たし、プロ最高ランクであるプラチナレベルにまで上り詰める。
『プロツアー・マジック2015』において使用した《世界を目覚めさせる者、ニッサ》を4枚投入した『ジャンド・プレインズウォーカー』デッキは世界のトッププレイヤー達から賞賛を受けるなど、デッキチューナーとしての評価も高まっている。

正に今、世界で最も注目を集めているプレイヤーだ。


主な戦績
・プロツアー・マジック2015 6位
・プロツアー・ニクスへの旅 4位
・グランプリ神戸2014 7位
・The Last Sun 2013 ベスト8
・Eternal Festival Tokyo 2013  3位
・2013日本レガシー選手権(夏)優勝
・2013日本レガシー選手権(春)優勝
・世界選手権2014出場
市川ユウキ、BIGMAGICとプロスポンサー契約を締結!!

市川ユウキ(瀬畑太郎)
「瀬畑太郎の紙とMOのあいだ」

第1回
第2回
第3回

特別企画「新環境でつかまえて」

”プロツアーニクスへの旅”に向けての調整録

市川ユウキのGP神戸調整録

市川ユウキのPTタルキール覇王譚調整録

市川ユウキのアブザンリアニ解説

世界選手権2014レポート
俺より強い奴に会いに(フランスに)行く
モダン調整編

市川ユウキ日本代表への道
第1回 今までのおさらい
第2回 Rabble Red&ローグ特集
最終回 何故市川は勝てなかったのか

市川ユウキの「これを1000枚買え!!!」
「タルキール覇王譚」編
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